介護サポートに大切なADL!!ADLで治療できるリハビリ内容とは?!

介護の世界で一般的に使われる言葉の中に、ADLがあります。普段の生活の中では、あまり馴染みの無い言葉ですが、介護を受ける上では必要な知識でもあります。ここでは、そのADLについてお届けします。

ADLの基礎知識

ADL

ADLとは?

ADL「Activities of Daily Living」の略称です。日本語では、日常生活動作と言われています。ADLと言うのは、日常生活を送っていく為に必要となる基本的活動を意味しています。ADLの具体例としては、人の起き上がり~寝返り動作から、食事やトイレ等の日常生活に必要な動作が挙げられます。ADLのサポートには、医療・介護・看護・福祉現場で働く看護師、リハビリスタッフ、介護士等によってサポートします。これらの専門家によって、患者や利用の日常生活能力を評価し、一人一人の身体症状を把握していきます。

自立した生活を目指す…

日本では高齢化社会に突入しており、高齢者の要介護状態の予防、介護状態悪化予防を図る取り組みとしてADLの重要性が求められています。生活機能を高めていく事が必要とされており、心身機能、ADL、家事、屋外歩行と言うような活動、生きがい、仕事等、これらの要素に対してバランス良くリハビリを働きかける事が大切になります。

ADLの種類とは?

① BADL:基本的日常生活動作

BADLとは、一般的にADLのことを言います。日常生活での基本的な起居・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容等の動作の事を指しています。

② IADL:手段的日常生活動作

IADLとは、BADLの次のステップを指しています。日常生活での掃除・料理・洗濯・買い物、交通機関の利用、電話対応、スケジュール調整、服薬管理、金銭管理、趣味等、複雑な生活動作の事を指します。

このように…

ADLと言うのは、基本的日常生活動作であるBADLが食事や更衣の動作を指し、手段的日常生活動作であるIADLがさらに具体的な生活動作を指しています。これらの動作を訓練する事が、患者や利用者にとっての運動機能回復に繋がっていくのです。

ADLのタイプとは?

できるADL

できるADLとは、その名の通り本人自身で行う事ができる事を言います。リハビリの中で本人が最大限の能力を使ってできる可能な動作になります。また、時間は少しかかったとしても何とか自分の力で行う事もできる動作も、できるADLに含まれます。動作の評価を見るものとして、主にBIが使用されます。評価する際には、実際に本人ができているADLを見るか、周りの人からの聞き取りによって評価されます。なので、本人が「できている」と言っても周りの人のサポートがある場合、それはできるADLではないと評価します。

しているADL

しているADLとは、その名の通り本人自身で行っている事を言います。「できるADLとどこが違うの?」と思っている人もいるかと思います。しているADLは、本人が日常的に行っているADLになるので、他人のサポートを必要としなかったり自主的に行えるものだったりを指しています。なので、しているADLはできるADLと比べると動作レベルが上がり、評価指標は主にFIMが使用されます。

ADLのリハビリの実態とは?

環境面での差について

まずは、何と言っても環境の影響がとても大きくなります。患者に動作のリハビリ練習を行う場面では、サポートする専門家が本人の側に居て、しっかり指示を出し応援をしてくれます。少し患者が疲れていたとしても、その場ではリハビリを頑張るものです。また、リハビリでは患者が動作しやすい環境のなかで行われるので、その環境に患者も慣れてしまいます。しかし、実際に生活場面で動作を行う際には、少し時間がかかった場合、誰かが手伝ってくれたり自ら声をかけて手伝ってもらったりする場合が多くなります。

習熟度の差について

患者のリハビリで次に大事な事は習熟度です。リハビリ指導を受けている時には動作を行う事ができていても、何とか自分自身で動作できているだけになるので、実際の生活場面で自らやろうとするのは難しいものです。動作手順が複雑だったり身体状況の変化に戸惑ったりするので、動作の繰り返し練習が必要になります。

ADLで重要なポイントとは?

患者をサポートしていく指導者の熟練度

ADLで最も重要なポイントは、やはり患者をサポートする指導者の熟練度です。この影響は、患者の機能向上にとって一番大きな影響と言えます。例えば、同じ患者に同じ動作の指導・練習を行う場合であっても、一緒にリハビリ指導する人が違うだけで、患者の動作の上達や成長は変わってきます。また、練習過程では一つ一つの動作を患者の生活の中に取り組んでいく事が大切なので、指導者の熟練度が患者の身体機能の回復ポイントに繋がります。

ADLが低下する事とは?

ADL低下と身体関係

ADLとは、日常生活動作の事を言いますが、ADLが低下する事で様々な不便が生じます。不便になってしまう背景には、身体機能と認知機能の低下、精神面や社会環境の影響等が挙げられます。ADLと身体・認知機能、精神面、社会環境と言うのは、相互作用し合っているので、それぞれの機能が一つでも低下してしまうとADL低下に繋がっていくのです。

低下する事で生じる症状

身体機能が低下してくると、立位・歩行の障害、バランス能力の低下、巧緻性・協調性の低下、易疲労性、食欲低下等が体の不調として現れます。具体的な症状には、動作や歩行時のふらつきや転倒がしやすい、箸使いやボタンかけが難しくなる等、色々な症状がみられます。
また、認知機能低下では、物忘れ、記憶障害、見当識障害、遂行機能障害、コミュニケーション能力等の低下が起こり、記憶を思い出せない、手順が分からない、お金の計算ができない、道に迷う等の症状が見られるようになります。他にも、身体機能や認知機能が低下すると、活動性低下で精神的に塞ぎ込みがちになるので、患者の寝たきり状態に繋がります。

ADL低下の原因

ADL低下の原因には、生活習慣病、神経疾患、関節疾患、精神疾患等、各疾患による薬の副作用等によって低下します。老化に伴って生じるADLの低下から、廃用症候群や認知症等へ繋がる事もあります。なので、このような第二次疾患を引き起こさない為にも、ADL低下予防対策を症状の早い段階から行う事が大切です。

ADLの評価とは?

患者や利用者ADLを評価して把握する事には、色々なメリットがあります。それには、ICFの考え方が根底にあります。ICFと言うのは、健康状態、心身機能、身体構造、活動と参加、環境因子、個人因子から構成されています。このICUで本人が本当に求めていて必要なADLやIADLに対して、プラスの視点を持って広い視点から自分の体の状況を理解する事を目指します。「どうすれば自分らしい生活が可能であるか?」その事について多面的に捉える事のできるICFは、ADL評価する上ではとても重要になります。

医療や福祉の現場でADLを把握する大切さとは?

ADLは、日常生活を送る上で必ず必要な動作であり、自立・見守り・介助・全介助等、分けてサポートしていきます。目の前の患者一人一人の生活の動作状況をみながら、今の患者の状態を客観的に記録していきます。例えば、入院した際にADLの観点から評価すると全介助だった場合、そこからADL上患者がどの程度回復したかを確認します。また、高齢者が足の骨を骨折した場合等、受傷する前の身体状況がどの程度のADLで、手術後どのようにADLが変化したか、どの程度まで回復する事ができるか、患者の目標根拠で活用されます。